着物のお仕立て
着物といっても、小紋・紬・訪問着・付下・留袖・振袖とその種類は様々。
また、着物以外にも羽織やコート、長襦袢・婚礼衣装・綿入れ・作務衣・袴といった和服全般を、お仕立ていたします。
あなたのお家で、眠ったままになっている反物などはございませんか?
どうぞ、当工房でそれらに新しい命を吹き込んでみてはいかがでしょうか?
着物のお仕立て
そもそも、着物のお仕立てとは、反物や解き済みの生地から、様々な和服を作ることを指します。
着物をお仕立てする場合、様々な工程を踏まなければいけませんが、まず最初にしなければいけないことが、「どの生地から何をお仕立てしたいのか」「どのような寸法にしたいのか」を決めることです。次に、お客様がイメージされたものを、お手持ちの生地で作れるのかを確認。それから、仕立て屋としてのアドバイスを行っていきます。
着物は、洋服の立体裁断と違って、反物を直線裁断して縫い合わせることで作られます。
また、縫い方も非常にシンプルな直線縫いです。簡単に縫うことができますが、かといって技術がいらないわけではありません。シンプルな縫い方だけに、緻密で優れた技術が必要になるのです。この直線構成と、卓越した技術によって、着物は3代にわたって着ることができる、といわれています。
着物のお仕立ての流れ
着物はどのようにお仕立てするのか、その流れをご説明いたします。
着物のお仕立ては、
といった10の行程を踏みます。
以下にそれらの行程内容をまとめました。着物のお仕立てをされる際のご参考にしてください。
お仕立て前工程
- .まずお仕立ての前に、お手持ちの生地で何をお作りになりたいのかを決めていただきます。
- お客様がお手持ちの生地で、ご希望のお仕立てが可能かを判断します。
例えば、仕立て上がった羽織は、着物裁ちの場合を除いて、基本的に着物にすることは
できません。そのように、お手持ちの生地によっては、ご希望に添えない場合もあります。
しかし、なるべくお客様がご希望されるお仕立てをするため、可能な仕立て方法を探します。
その際は、お時間をいただく場合があります。 - 寸法の割り出し
お客様の体型に合った寸法を割り出します。その際、最も確かな方法は、お客様が
一番着やすいと思われるお着物を、ご持参いただくことです。
そのようなお着物がない場合は、長襦袢などをご持参いただくか、これまでに着ていた
寸法をお教えください。それらを採寸し、必要であれば寸法の割り出しを行います。
その場合、お時間をいただく場合があります。
お仕立ての工程
以下から実際のお仕立ての工程に入ります。
- 1.検品(検反)
- まず、お預りしたお着物や反物を検品いたします。反物とそれらの付属物が揃っているのか、反物の品質の確認などを行います。着物には絹100%か、交織か、綿か、麻かといった品質の違いがあり、それらを確認しないと、次の工程である地直し、こて当てに不備が出る場合があるのです。また、生地の表裏を見て、織り傷や、シミ、汚れなどを確認。欠点のある場合は、糸印(いとじるし)を付けておきます。
- 2.検尺
- 着物の表地、あるいは裏地または、付属品の長さを測り、お仕立てに必要な長さを持っているかを確認します。
- 3.地直し
- 地直しとは、着物自体の織目や布目を正しい状態に戻すことをいいます。布地の織り方や、織糸のバランスをチェックして、着くずれや、縫い狂いをなくすようにします。
お仕立てをする中で、最も大切な工程のひとつです。
- 地直しを行う際、生地がどのような狂い方、曲り方をしているのかを見極めることが重要です。それを踏まえて、繊維の種類などによって、どのような用具を使うのか、どのように直すのか、を決定します。
繊維の中でも、熱や湿気によって伸び縮みするものがありますので、地直しをする際は、繊維の特徴を知っておくことも大切とされています。 - 4.見積り
- 見積りとは、地直しされた反物などを、袖・身頃・衿・衽(おくみ)の長さを折りたたんで確認することです。袖などの裁ち切り寸法と残り布を確認して、柄合わせや、傷、シミなどがないものに関しては、それぞれの種類による裁ち方で裁断します。
- 5.柄合わせ
- 反物の特徴やお客様のお好みに合わせて、柄合わせを行います。絵が描かれた絵羽物の場合は、基本となる寸法に合わせて、柄を合わせます。
- 6.裁断
- 様々な工程を踏んで、裁断に入ります。裁断は、大きく分けて
「基本裁ち」と「追い裁ち」の2種類があります。
基本裁ちは、一般的な裁断方法で、反物の同じ耳の方に衿肩明を切るものです。柄合わせ、傷、シミなどもなく、折り積りのまま裁ち切り,そのまま同一方向を後身頃にして標付けをします。
一方、追い裁ちは,耳の反対側に衿肩を切り他の部分も一方向きになるように,標付け、縫い合わせを行う方法です。
- 生地の種類、柄などによって、適した裁断方法があります。基本裁ちは山繭、絞り、ビロード、絞織りといった、色が違って見えるものに適しており、追い裁ちは一方向き柄、片よせ柄に適しています。
- 7.ヘラ付け
- 柄合わせ、裁断の後は、寸法書を見て各部分に正確な寸法を記す、ヘラ付けを行います。この作業は、縫い合わせを美しく仕上げるのに、重要な工程です。
- 8.縫製
- 上記の工程を踏んで、縫製に入ります。袖・表身頃・裏身頃を縫い、最終工程に入っていきます。
- 9.仕上げ
- ここまでの工程を踏めば、後は仕上げ作業を残すのみです。生地の種類によって、適した仕上げ方法が存在します。
- 一般的に、木綿、麻は霧仕上げと呼ばれる方法が適しています。霧仕上げは、折り目・袖口・裾にアイロンをかけてから、霧を吹き、たたんでから押し(プレス)を施します。さらに、こじわを取るため、プレスをかけた後、アイロンをかけます。
また、絹布、合繊類,交織物はアイロンをメインとした仕上げ方法が適しています。しかし、場所によっては、霧や水を含ませた布を使うのも、よいとされています。
- アイロンをかける際も、お客様からお預りしたお着物・反物などを傷つけないように、丁重にお取り扱いしております。
- 10.検査
- 最後は、寸法の確認、細部のチェック、探知機を使って、着物の中に針が混入していないかを検査し、全ての工程は終了いたします。
- 以上で、着物のお仕立ては終了します。当工房では、より優れたお仕立てを行うべく、様々な工夫を施しています。
- コートや着物のスナップ類に関しては、絹物に直接金属が触れないように、できる限り布でくるんでいます。また、縮みをなくすよう綿の反物(浴衣は除く)、綿の帯芯などは、可能な限り一度水洗いをしてから作業に入るようにしています。
- 丁寧な仕事で、お客様に美しいお着物をご提供する。
それが私どもが考えるお仕立てなのです。
国家検定・ 1級和裁技能士 |
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